家で練習している時は弾けるのに…。
家で一人練習していると上手く弾けるのに、発表会など、人前で演奏する時は緊張して全然弾けない…。なんて経験、ありませんか?自分も人前での演奏は、毎回緊張で手がブルブル震えるし、足もガクガク震えてペダルもろくに踏めない。終わった後は悔しさばかり残り、達成感を味わう事はほとんどありません。だからこそ次も頑張ろうと思えるのですが。
この時いつも思うのは、「練習で弾いている時ぐらい、人前でも上手く弾けたら…」「緊張で震えなければ上手く弾けるのに…」等、いろいろ思うこともあるでしょう。人一倍緊張する自分もそう思っていました。
人前で弾いた時が、本当の実力?
ですが、いつか読んだ本のある言葉にハッとさせられたのです。
「人前で弾いた時の演奏が、本当の実力である」と。
確かにそうですね。いくら家で練習しているときに上手く弾けるといっても、それを人前で披露出来なければ、ただの言い訳にしかなりません。発表会を見ていて思うのですが、小さい子供は緊張せず楽しく伸び伸びと弾いていて、自我が芽生える高学年から緊張してくる子が増えてくるように思います。大人から始めた人は、ほぼ全員が「これほどの緊張感は味わったことがない」と言います。みんな緊張するのですね。あなただけではないのです。
中には、大人でも全く緊張しない方もいるようで、この辺りは環境や性格などの素質もあるのでしょう。ピアノを初めて1年足らずで堂々と弾いている方もいて、すごいなと思います。
発表会で出来るだけ実力を出すには
さて、この発表会で出来る限りいつも通りの実力を出すには、自分の経験から言って2つあります。
1つめは「とにかく人前で弾く機会を増やして場数を踏む」
2つめは「無意識に体が勝手に動くようになるまで、ひたすら弾き込む」
この2点に尽きます。
特に1つめが重要で、発表会など人前で弾く機会があったら積極的に参加して、緊張に慣れるしかありません。真理といってもいいぐらい一番の方法です。この記事を読んでいる方の中には、初めての発表会で緊張しない方法を探して来た方もいるかもしれませんね。逆説的ですが、緊張しないためには、場数を踏んで緊張に慣れるしかないのです。これはピアノに限らず、人前のスピーチなど色々な場面で言えると思います。
たくさん失敗して、たくさん悔しい思いをして下さい。自分達はお金をもらうプロじゃない、所詮素人の演奏です。失敗して死ぬわけじゃないし。そう思えば少しは気が楽になりませんか?
なんて突き放してしまっても、せっかく読みに来てくれた方に申し訳ないので、2つめの無意識に体が動くまで練習するという事について詳しく解説しますね。
発表会に出るメリットの一つに、練習量が増えるという事があります。人前で弾く以上、みっともない演奏をするわけにはいかない。自分だけならまあいいかと妥協しても、人に聴かせるとなるとしっかりしないといけない。なので、発表会に出ると自ずと練習量が増えるのです。
これはあくまで自分の経験なのですが「本番は練習の半分」というのが、自分の感覚です。つまり、家で120%弾けてやっと、発表会で6割出せれば上出来という感じです。ただこれは緊張する体質によるので、人それぞれだとは思いますが。
なので、自分は発表会で演奏する曲は1年前に決めて、半年前には両手合わせが出来るようになって、そこから残り半年で完成度を高めていくという風に周到な計画をしています。(曲の難易度によって、多少期間のズレは生じます)
1年間たっぷり時間をかけて、無意識に体が動くようになるまで弾きこんでやっと、人前で披露できるレベルになります。それぐらい練習したことが自信にもなりますし。どれだけメンタル弱いんだよって話なんですが…。たくさん練習した分、一度覚えた曲は忘れにくいというのもメリットです。久しぶりに弾いても指が勝手に動いてくれて、自分でビックリすることがあります。これも発表会で弾くからと、たくさん練習した努力の賜物です。
ここまで緊張する経験は、なかなか出来ない貴重な体験
はっきり言って、自分は発表会が大の苦手です。今まで発表会で上手く弾けたと感じたことはほとんどありません。トラウマレベルで記憶から消し去りたいほどの大失敗をしたこともあります。正直、自分の不甲斐なさがもの凄く悔しい。だから次こそはもっと頑張ろうと思うのです。悔しさをバネに、這い上がるのです。
こうして回数を重ねるうちに、緊張しながらも自分の納得のいく演奏ができる時が必ず来ます。そして、どんなに自分がダメだと思っていても、褒めてくれる人は必ずいます。その時の嬉しさといったらありません。
発表会はとても緊張しますが、ここまでの緊張をすることは人生で中々ありません。なので、逆にこの貴重な体験をさせてくれることはありがたいことだと思っています。また、人前で演奏すると必ず何かしらの発見があります。嫌でも自分と向き合うことになるので、どういう結果になっても、経験として人生の収穫になると信じています。だからどんなに苦手でも、機会があれば出来る限り人前で演奏しています。
愛読している角聖子先生のブログでもおっしゃっていましたが、発表会はあくまで通過点で、ゴールではありません。上記で書いたように、発表会に至るまでに重ねた沢山の努力や、終わった後の達成感や、上手くいかなかった時の悔しさや反省などのプロセスが、長いピアノ人生の糧となり、貴重な経験や想い出になるのです。
ボロボロな演奏ばかりの自分の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。
共に頑張りましょう。